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なんきょくき
南極記
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《南極記(なんきょくき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,753 字 · 35 頁
の一団で、ホテルに泊る金もなく、ミルストホーン公園の隅で野営をし、上着の下にシャツも着ない不体裁な恰好でうろつきまわるため、大方の市民の鼻っつまみになっていたが、その乞食のような連中が、われわれは南緯七十四度十六分まで行ってきたなどと出鱈目な放言をするのでよけい評判が悪かった。
シドニーの市民はシャクルトンの探検隊を送迎し、七百噸の「ニムロッド」号でさえどんな目に逢ったか知っているので、難破船の寄せ集めのようなみじめな船が、一年中、やむときなく暴風雨が吹き荒れている南氷洋の怒号帯や五里霧中の濃霧帯を越え、氷山と圧氷の間を徘徊してきたなどといってみても、誰一人、真に受けるものはなかった。
とんでもない法螺吹きどもは、その年の十一月の中頃、ボロ船に乗ってなんということもなくシドニーを出て行ったが、翌年の三月の末、新西蘭(英国の自治領)のウエリントン港に帰ってきて、こんどは南緯八十度〇五分まで行ってきたと発表した。タカセという隊長はインタヴュウに行った土地の新聞記者に、こんな挨拶をしたというのだった。「こんどの探検で、われわれは気をよくしているんです。