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はんせんぶんがくろん

反戦文学論

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《反戦文学論(はんせんぶんがくろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,646 字 · 28 頁

青空文庫

即ち、××的、××的戦争に反対するのである。

二

ブルジョアジーの戦争反対文学は、多く、個人主義的、或は、人道主義的根拠から出発している。そこに描かれているものは、個人の苦痛、数多の犠牲、戦争の悲惨、それから、是等に反対する個人の気持や、人道的精神等である。

手近かな例を二三挙げてみる。

田山花袋の「一兵卒」は、日露戦争に、満洲で脚気のために入院した兵卒が、病院の不潔、不衛生粗食に堪えかねて、少しよくなったのを機会に、病院を出て、自分の所属部隊のあとを追うて行く。重い脚を引きずって、銃や背嚢を持って終日歩き、ついに、兵站部の酒保の二階――たしかそうだったと思っている――で脚気衝心で死ぬ。そういうことが書いてある。こゝでは、戦争に対する嫌悪、恐怖、軍隊生活が個人を束縛し、ひどく残酷なものである、というようなことが、強調されている。家庭での、平和な生活はのぞましいものである。戦場は、「一兵卒」の場合では、大なる牢獄である。人間は、一度そこへ這入ると、いかにもがいても、あせっても、その大なる牢獄から脱することが出来ない。――こゝに、自然主義の消極的世界観がチラッと顔をのぞけている。