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はんこう

反抗

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《反抗(はんこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 頁

青空文庫

妙に話がはずまなかった。

その時、表からふいに飛び込んで来た男があった。扉をばたりと後ろに閉めて、つかつかとこちらへやってきた。それが竹内だった。

周平はぎくりとした。竹内も一寸狼狽したらしかった。が彼はすぐに、見開いてる輝いた眼を、金縁眼鏡の下に笑いくずしながら、皆の中にわり込んできた。

「馬鹿に寒い晩だね。外を歩いてると堪らなくなって、飛び込んできちゃった。」

「一人だったのか。」と村田が云った。

「え?」と竹内は怪訝な顔をした。

「一人とは珍らしいね。」

「なあに、いつも一人さ。井上君のようなわけには行かないよ。」

そのあてつけが周平は癪に障った。竹内はいつも、文士の誰かにくっついてるか、または友人の誰かと一緒になっていて、決して一人のことがないというのが、彼等の間の定評だった。竹内自身もそれを知ってる筈だった。そして、村田が云ったのは確にその意味に違いなかった。それを彼は変に皮肉にねじまげて、暗に周平を揶揄してきたのだ。周平はじっと彼の顔を見つめてやった。彼は素知らぬ顔をして隣りの者の杯を引ったくっていた。

「兎に角、内部から温めるに限る。」

そして彼は、三四杯たて続けに飲んで、それから勝手に皆の数だけ、ホット・ウイスキーを命じたりした。