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きょうふのきせつ

叢書名著の復興1 恐怖の季節

三好 十郎

線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁

青空文庫

それを『暗夜行路』の作者がやってのけていることだ。ぜんたい、この間の戦争をふくめての此の十年二十年を、その中でチャンと日本人として――その権利と義務を行使して――つまり、ホントにナマミで生きて来た人間が、どこを押せば、その十年二十年(自分自身をも含めて)の所産である特攻隊くずれを、あのように手ばなしに一方的に非難できるのか? 自分が特攻隊員だったと思ってみろ。また、自分のムスコが特攻隊員だったと思ってみろ。あの時、自分なり自分のムスコが特攻隊に引っぱり出されて、おれはイヤだと言ってことわれたか? もし、ことわれていたのだったら、特攻隊くずれを叱ってもよい。ことわれなくても叱っても悪くはないが、その時、あなたの胸の中に痛むものは無いのか?(そして私には、そのような痛みが彼の文章の中に感じられなかった)もし無いならば、あなたは、この十年間を「生き」てはいなかったのだ。『暗夜行路』の作家は、いつの間にか、偶然の特等席に引退してしまっていたのだ。それが今になって、こうだ。それはみっともない。戦争中カンゴクの中で戦闘機の部分品を作っていた共産党員が、終戦後とびだして来て、強制的に従軍させられた従軍文士を戦犯として罵りさわいだのよりも、みっともない。