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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁
いや、ツクネいもなどの「文人画」のことではない。コツコツと写生をしデッサンをしてタブロウをつついて描いた絵のことだ。タブロウは写実と美と純粋だけでは出来あがらない。論理と構築と進化が存在しないと、出来あがらない。僅かであるが、そういうタブロウがあるのだ、武者小路に。それを見ると、およそ、それまでの武者小路から想像することのできないような細心で慎重な、順序を踏んで自然に味到しようという態度がある。往々にして、そのタブロウは、彼の「ツクネいも」の絵よりも出来が悪いけれど、しかし、そこにホントの芸術家の態度がある。それが、絵を描きだして、はじめて彼のうちに生れた――つまり、絵を描くに至ってはじめて彼は芸術家になった――と私は見る。カンバスを五千八百九枚あてがっても、彼はもうその全部に塗りたくりはしないであろう。それが、彼自身にとってもわれわれにとっても、喜ぶべき事であるか悲しむべき事であるか、わからない。実に、それは、わからない。ただ、もう、後がえりはできまい。また、後がえりは、してもらいたくない。
なぜかというと、論理と構築と進化とが、多少ずつでも彼のうちに生きてくれば、「すべての事は、それぞれそのままの意義と姿において、ほむべきかな」