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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁
仙太 そうよなあ、一度別れりゃまたいつといってあえねえ。お前を相手じゃ意地も張れめえ。(二人連立って本舞台へ。――茶店の前へ出て)おお丁度おあつらえ向きだ。ごめんよ。
長五 おい、休まして貰うぜ。なんだ、誰もいねえのか。おい! (いっているところへ、本宿の方の騒音急に激しくなり、エジャナイカの声々が潮のように起る)何だありゃ?
仙太 フフン、こんな所にも流行って来たのか。江戸を出る時も千住あたりでエジャナイカ、エジャナイカであちこち叩きこわしが始まっていたが。
長五 何でも米屋と質屋が一番先きに叩きこわされるというのだから、米も金もなくなって食うに困った連中のやることだ。ウンとやるがいいや。ついでに知行取りの士屋敷や奉行所、公方様の米倉あたりまで押せばいいに。
仙太 こらえ切れなくなった町人百姓の尾も頭もねえ八つ当りだ、どう転んだとてそこまでは行きはしねえ。情けねえ話だ。御大老が斬られるわ、あっちでもこっちでも強盗火つけ、押しがりゆすり、人殺し辻斬りと、全体末はどうなるのかなあ?
長五 そいつは八卦見にでも聞くがいいや。世間の抜道を斜に歩く俺のような渡世人にゃ、この世の中がどうなろうと知ったことかい。