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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁
水木 加多っ! 加多っ! 何を、何をしている!
加多 よし! (刀を上段に構えて、ツツと崖の方へ)仙太郎、許せ! (言いざま、スッと斬り下ろした刀、仙太郎の肩に入る)
仙太 犬畜生っ! 士の犬畜生っ! アッ (同時に崖を踏みはずして向う側へ落ちる。落ちながら呪いののしる叫び――)
(間)
加多 ……(落ちて行く仙太郎をジッと見下ろして立っていた後、ヨロヨロ歩いて来る)ウーム。(ボンヤリ立っていてから、変に唸るような声を出す。泣いているのである……)水木さん、斬った。
水木 おお!
加多 あれは立派な、男であった。……この身体では拙者も……。ご免、お先へ。(言うなり持っている血刀の穂を右襟首の辺へスッと立て、刀はそのままビューンと投げ出し、チョッとの間、立っていてから、ガクリとして、前のめりに木が倒れるように雪の中にポスリと倒れる。
呆然として立っている水木。
山中をめぐつて鳴り出す陣太鼓の音)(幕)
10 真壁在水田
明治十七年八月末の晴れた日の午さがり。
広々とした一面の水田で、早稲はすでに七分通り生長している。花道は村道。村道は本舞台にかかるとすぐ二つに分れて、一方は左袖へ消え、一方は右に曲って、水田の中を斜に断って、右奥へ曲って消えている。