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こだいこくごのおんいんについて
古代国語の音韻に就いて 他二篇
橋本 進吉
線上閱讀橋本 進吉《古代国語の音韻に就いて 他二篇(こだいこくごのおんいんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 頁
しかるに我々が、その時の音韻組織を大体推定し得る最古の時代である奈良朝においては、八十七または八十八の音を区別したのであって、その中から濁音を除いても、なお六十ないし六十一の音があったのである。それらの音の内部構造は、まだ明らかでないものもあるが、これらの音を構成している母音は、五十音におけるがごとく五種だけでなく、もっと多かったか、さもなければ、各音は一つの母音かまたは一つの子音と一つの母音で成立つものばかりでなく、なお、少なくとも二つの子音と一つの母音または一つの子音と二つの母音から成立つものがあったと考えるほかないのであって、音を構成する単音の種類または音の構造が、これまで考えられていたよりも、もっと多様複雑になるのである。これらの音が平安朝においては濁音二十を除いて四十八音から四十七音、更に四十四音と次第に減少し、音の構造も、大体五種の母音と九種の子音を基礎として、母音一つか、または子音一つと母音一つから構成せられるようになって、前代よりも単純化したのである。この傾向から察すると、逆にずっと古い時代に溯れば、音の種類ももっと多く、音を構成する単音の種類や、音の構造も、なお一層多様複雑であったのではあるまいか、すなわち、我々の知り得る最古の時代の音韻組織は、それよりずっと古い時代の種々の音韻が、永い