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こせんのなぞ

古銭の謎

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《古銭の謎(こせんのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,885 字 · 26 頁

青空文庫

身体を横にしなければ通られないような道は、三四間続くと、その先には恐ろしく急な階段が、奈落の底まで続くように、脚下に口を開いて居ります。

「大丈夫か」

「急な階子段ですよ、お気をつけなすって」

父娘は、懐中電灯の光をたよりに、その段々を三十幾つか下ると、今度はやや広い廊下へ出ました。広いと言ったところでせいぜい三尺そこそこ、相変らず、鼻をつままれても判らぬような、恐ろしい闇です。

その廊下を二三十間行くと、道はやや広い暗室へ入ります。湿っぽい不愉快な空気が鼻を衝いて、今にも窒息するのではないかと思われるようです。

暗室の広さは五坪程、両方に小さい入口があって、四壁は煉瓦を積み上げ、下は全部コンクリート、牢獄よりも堅固に無気味に出来て居りますが、不思議な事に、その暗室の真ん中程のところに、六尺四方の鉄板があって、その上の真ん中に、一尺そこそこの銀の盆が取り付けられ、懐中電灯の光を受けて、燦然として光って居ります。

フト気が付くと、丁度向い合ったもう一つの入口から、サッと光が射して、明かに人声、

「お母様、大丈夫ですか」

「おお気味が悪い、何んという恐ろしい道でしょう、あんな変な探偵のいう事なんか当てになるのかい」