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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(二)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 221,941 字 · 435 頁
いや、おそるべき怪技を有する怪人でした。相当目方があるべきはずなわきざしを鞘ぐるみしっかと口にくわえて、あざやかな抜き手をきりながら、ご府内名うての大隅田川を一気にこちらまで泳ぎ渡ってまいりましたので、息をころしながら待ちうけていると、だが、不思議です。じつに不思議です。覆面の小がらなそれなる怪人は、岸へ泳ぎつくと、ぐっしょりぬれた着物からぽたぽたと水玉をおとしながら、まるで何かの物の化につかれてでもいるかのごとく、ひょうひょうふらふらと歩きだしました。それも、尋常普通のふらふらした歩き方ではないので、足のある幽霊がさながら風に乗ってでもいるかのごとく、まっすぐに向こうを向きながら、ふわりふわりと歩きだしましたので、伝六はもとよりのこと、さすがの右門もややぎょッとなっていたようでしたが、やにわとうしろに近づくと、一声鋭く大喝いたしました。
「バカ者ッ。どこへ行くかッ」
と――なんたる奇怪さでありましたろう! 右門の大喝一声とともに、ふわりふわりと風に乗ってでもいたかのように歩みつづけていた怪人が、いきなりそこにばたりと倒れてしまいました。その倒れ方がまた尋常ではないので、さながら棒を折りでもしたかのごとく、ポキリとのけぞってしまいましたものでしたから、伝六がくるくると目を丸めながら、何度もなまつばをごくごく