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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(二)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 221,941 字 · 435 頁
「ねえ、だんな。――だんなってたら、ちょっと、だんな。しようがねえな。あっしまでが悲しくなるじゃござんせんか。しっかりしておくんなせえよ。――」
聞き流しながら、知恵も才覚もつき果てたようにややしばしぐったりとなったままでいましたが、しかし、そのうちに名人の手がそろりそろりと、あごのあのまばらのひげのところへ持っていかれました。ここへ静かに手先が伸びていくと、曇った空がたいていのとき晴れだすのが普通でしたから、それと知って、今のさっきまでの泣き上戸伝六が、たちまち喜び上戸に早変わりしたのはいうまでもないことです。
「おッ。みろみろ、辰ッ。もぞりもぞりとおはこが出かかったから、静かにしろよ。あのつんつんとひっぱるやつがお出なさりゃ、じきに知恵袋の口があくんだからな」
と――いうかいわないうちに、果然、むくりと起き上がるや、微笑とともにあいきょう者へ、朗らかなところが飛んでいきました。
「な、伝六ッ」
「ありがてえ! 出ましたか!」
「出ねえでどうするかい。おれともあろうものが、とんだおかたのいらっしゃることを度忘れしていたもんじゃねえか。こういうときのお力にと、松平伊豆守様というすてきもないうしろだてがおいでのはずだよ」