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うもんとりものちょう

右門捕物帖(二)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(二)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 221,941 字 · 435 頁

青空文庫

「ただの一度縁起をかついだことのねえおれだが、――急に年が寄ったかな。ちっと帰りが長引きすぎるようだ。ひとっ走り様子見にいってきなよ」

促して、伝六を走らせようとしているところへ、雪の表の道をこちらに、トウトウ、トウトウとひづめの響きも高く駆け迫ってきたのは、まさしく早馬の音でした。

「…………?」

はてな、というように聞き耳立てたとき――

「ご在宅かッ。右門どのはご在宅かッ」

あわただしく言い叫んだ声がありました。

「殿が――伊豆守様が火急のお召しじゃ! お出会いくだされよッ。そうそうこれへお出会いくだされよッ!」

語韻の乱れ、呼吸のはずみ、容易ならぬ珍事でもが突発したらしいけはいでしたので、聞くや名人は、一足飛び――。

「なにごとにござります?」

「これじゃ! これじゃ!」

年若い近侍が、手渡す間ももどかしいように差し出したのは、次のごとき一通の密書でした。

「――いかなることあるとも他言いたすべからず。大事出来、一刻を急ぎ候あいだ、馬にて参るべし。          豆州」

かつてないお差し紙です。一刻を急ぎ候あいだ馬にて参るべしとは、将軍家のお身のうえにでも変事があったか、それとも伊豆守ご自身にかかわる大事か、いずれにしても容易ならざる急達でしたので、物に動じない名人のことばもおのずから震えました。