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うもんとりものちょう

右門捕物帖(二)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(二)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 221,941 字 · 435 頁

青空文庫

。つづいて剽悍児秀の浦の松かさみたいな左のこぶしが、同じくじりじりと砂の上におろされましたので、さっと軍配が引かれるといっしょに、肉弾相打って国技の精緻が、いまやそこに現出されんとした瞬間――まことにどうも変な結果になったものでした。にらみ合っただけで一合も渡り合わずに、突然江戸錦がぷいと立ち上がって、にたり微笑を漏らすと、

「おいどんが負けでごんす」

つぶやきながら、さっさとたまりへ引き揚げてしまったからです。それも一突きなりと突きあったうえで、そのうえ土俵を割ったとしたなら、まだ同じあっけなさでも考えようがあるというものですが、今立ち上がるか、いま取り組むかと、さんざん手に汗をにぎらしたうえで、行司が軍配を引くや同時に、ぷいと背をうしろに向けながら、おいどんが負けでごんすと、にやつきにやつき引き揚げてしまいましたので、あっけないというよりか、人を食ったその相撲ぶりに、西も東もあらばこそ、今はもうごっちゃになりながら、いっせいに総立ちとなって、口々にののしり叫びました。

「なんじゃ、見苦しい八百長か! 八百長ならさし許さんぞ、もう一度取り直せッ。行司、なにをまごまごいたしおるか! 取り直させんか! 取り直させんか!」