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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
線上閱讀夏目 漱石《吾輩は猫である(『わがはいはねこである』じょうへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 頁
彼は垣は踰ゆべきものにあらずとの仮定から出立している。いやしくも学校の生徒たる以上はいかに粗末の垣でも、垣と云う名がついて、分界線の区域さえ判然すれば決して乱入される気遣はないと仮定したのである。次に彼はその仮定をしばらく打ち崩して、よし乱入する者があっても大丈夫と論断したのである。四つ目垣の穴を潜り得る事は、いかなる小僧といえどもとうてい出来る気遣はないから乱入の虞は決してないと速定してしまったのである。なるほど彼等が猫でない限りはこの四角の目をぬけてくる事はしまい、したくても出来まいが、乗り踰える事、飛び越える事は何の事もない。かえって運動になって面白いくらいである。
垣の出来た翌日から、垣の出来ぬ前と同様に彼等は北側の空地へぽかりぽかりと飛び込む。但し座敷の正面までは深入りをしない。もし追い懸けられたら逃げるのに、少々ひまがいるから、予め逃げる時間を勘定に入れて、捕えらるる危険のない所で遊弋をしている。彼等が何をしているか東の離れにいる主人には無論目に入らない。北側の空地に彼等が遊弋している状態は、木戸をあけて反対の方角から鉤の手に曲って見るか、または後架の窓から垣根越しに眺めるよりほかに仕方がない。