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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《吾輩は猫である(『わがはいはねこである』じょうへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 頁

青空文庫

だからおとなしくして拾えば、いくらでもおとなしく拾える。ライプニッツの定義によると空間は出来得べき同在現象の秩序である。いろはにほへとはいつでも同じ順にあらわれてくる。柳の下には必ず鰌がいる。蝙蝠に夕月はつきものである。垣根にボールは不似合かも知れぬ。しかし毎日毎日ボールを人の邸内に抛り込む者の眼に映ずる空間はたしかにこの排列に慣れている。一眼見ればすぐ分る訳だ。それをかくのごとく騒ぎ立てるのは必竟ずるに主人に戦争を挑む策略である。

こうなってはいかに消極的なる主人といえども応戦しなければならん。さっき座敷のうちから倫理の講義をきいてにやにやしていた主人は奮然として立ち上がった。猛然として馳け出した。驀然として敵の一人を生捕った。主人にしては大出来である。大出来には相違ないが、見ると十四五の小供である。髯の生えている主人の敵として少し不似合だ。けれども主人はこれで沢山だと思ったのだろう。詫び入るのを無理に引っ張って椽側の前まで連れて来た。ここにちょっと敵の策略について一言する必要がある、敵は主人が昨日の権幕を見てこの様子では今日も必ず自身で出馬するに相違ないと察した。