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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《吾輩は猫である(『わがはいはねこである』じょうへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 頁

青空文庫

「ないですかな。少しは善くなりますかな」と自分の胃の事を人に聞いて見る。

「そう急には、癒りません、だんだん利きます。今でももとより大分よくなっています」

「そうですかな」

「やはり肝癪が起りますか」

「起りますとも、夢にまで肝癪を起します」

「運動でも、少しなさったらいいでしょう」

「運動すると、なお肝癪が起ります」

甘木先生もあきれ返ったものと見えて、

「どれ一つ拝見しましょうか」と診察を始める。診察を終るのを待ちかねた主人は、突然大きな声を出して、

「先生、せんだって催眠術のかいてある本を読んだら、催眠術を応用して手癖のわるいんだの、いろいろな病気だのを直す事が出来ると書いてあったですが、本当でしょうか」と聞く。

「ええ、そう云う療法もあります」

「今でもやるんですか」

「ええ」

「催眠術をかけるのはむずかしいものでしょうか」

「なに訳はありません、私などもよく懸けます」

「先生もやるんですか」

「ええ、一つやって見ましょうか。誰でも懸らなければならん理窟のものです。あなたさえ善ければ懸けて見ましょう」

「そいつは面白い、一つ懸けて下さい。私もとうから懸かって見たいと思ったんです。