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うたのたてやましんじゅういっきょく
唄立山心中一曲
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《唄立山心中一曲(うたのたてやましんじゅういっきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,835 字 · 61 頁
だ。
視る奴の方が夢のようだから、御当人たちは現かも知れねえ。
でその二人は、そうやって、雪の夜道を山坂かけて、どこへ行くんだと思召す。
ここだて――旦那。」
藤助は息継に呷と煽って、
「この二階から、鏡台山を――(少し薄明りが映しますぜ、月が出ましょう。まあ、御緩りなさいまし、)――それ、こうやって視るように、狼温泉の宿はずれの坂から横正面といった、肩でこう捻向いて高く上を視る処に、耳はねえが、あのトランプのハアト形に頭を押立った梟ヶ嶽、梟、梟と一口に称えて、何嶽と言うほどじゃねえ、丘が一座、その頂辺に、天狗の撞木杖といった形に見える、柱が一本。……風の吹まわしで、松明の尖がぼっと伸びると、白くなって顕れる時は、耶蘇の看板の十字架てったやつにも似ている……こりゃ、もし、電信柱で。
蔭に隠れて見えねえけれど、そこに一張天幕があります。何だと言うと、火事で焼けたがために、仮ごしらえの電信局で、温泉場から、そこへ出張っているのでございます。
そこへ行くんだね、婦二人は。
で、その郵便局の天幕の裡に、この湯女の別嬪が、生命がけ二年越に思い詰めている技手の先生……ともう一人は、上州高崎の大資産家の若旦那で、この高島田のお嬢さんの婿さんと、その二人が、いわれあって、二人を待って、対の手戟の石突をつかないばかり、洋服