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よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

線上閱讀森田 草平《四十八人目(よんじゅうはちにんめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 頁

青空文庫

と、安兵衛はそばから口を出した。「これは貴公でないといかんからな」

「心得ました。さっそくとどけることにいたしましょう」

「そうだ」と、忠左衛門も言った。「御苦労だが、そう願うことにしよう。ところで、小平太どのの内偵は、拙者から久右衛門殿(池田久右衛門、山科以来大石の変名)に伝えようが、それよりもお身自身の口から申しあげた方がいいかもしれない。どうだな、これからすぐに石町へ同行しては?」

「は、私が参った方がよろしければ、すぐに御同道いたします」

「ああ、そうなさい。それから横川氏、貴公もその文箱をとどけたら、あちらへ参られい。このたびのことは、一つはお手前の働きでもあるから、一足先へ行って、拙者から太夫によく申しあげておくよ」

「恐れ入りました。それでは、いずれ後ほど御意を得ることにしまして、私は一走り行ってまいります」と、勘平は会釈して立ち上った。ちょっと間を置いて、忠左衛門も小平太を伴れてその家を出た。

二人が小山屋の隠宅へ着いたのは、日脚の短い時節とて、もうそろそろ灯火の点くころであった。寒がりの内蔵助は、上の間の行灯の影に、火桶を前にして、一人物案じ顔に坐っていた。