輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

よねんかん

四年間

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《四年間(よねんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,135 字 · 36 頁

青空文庫

いつもきちんと納って鍵を掛けておくのだが、鍵も掛かっていないし日記帖もなかった。……彼は立って机の上を捜した、そして新聞紙の下にそれをみつけだした。

「納い忘れたのだろうか」信三は朝早くそこをひきあげた時のことを思いだしてみた、しかしそういう動作はもう馴れてなかば無意識になっているから、はっきり納ったとも忘れたともきめられなかった、「……注意しないといけない、もし人に見られでもしたら……」彼はちょっと身ぶるいをした、それから椅子にかけ直し、ペンを取って日記帖をひらいた。

その夜はまとまったことはなにも書けなかった、いくら卑しめても宵月の浜で見た青春の群れが思いだされ、彼らのささやきや含み笑いのこえが耳についた。彼は茶をいれてみたり、生のままでジンを舐めたりしたが、やがて疲れと混沌とした無気力さに負けてペンを投げだした。……時計はまだ十二時ちょっと過ぎを指していた、憫然と日記を繰り返してみたが、どの一行も誇張した表現ばかりで、空疎な、白じらしい、実感のない記述のように思え、やりきれなくなってひきだしへ押し込んでしまった。

うち拉がれ、こころくじけて、傷ついた獣のような足どりで彼は書斎からひきあげていった。