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よつや、あかさか

四谷、赤坂

宮島 資夫

線上閱讀宮島 資夫《四谷、赤坂(よつや、あかさか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,947 字 · 18 頁

青空文庫

日清戦争後、大横町の角に、永田という薬屋が出来た。銅張りの建築で、その時分は全く珍しく、周囲の古ぼけた建物の中に異彩を放った。主人は四谷在住の男ではなかったらしい。が、薬屋らしい山気と広告本能が強かったのであろう。開店祝いの時には、武源楼といった料理屋に、知人を招待して四谷芸妓を総揚げにして、揃いの裾模様の着物を着せて、踊りをおどらせたものであった。

昼は楽隊でぶか/\やり、夜は二階の障子をはらって踊りというのであるから、見物は武源楼の前に群がった。全く四谷のようなとこでは、未曾有の事だったのかも知れない。が、更に二、三日たつと、大通りの絵双紙屋の店に、当夜、四谷芸妓が揃いの裾模様で踊っている所が、三枚続きの絵となって現れたものであった。活動写真だのニュースだのというもののない、当時の絵双紙屋は、今日のそれの地位に相当したようなものがあった。原田重吉の玄武門でも、松崎大尉の戦死でも、石版刷の絵によって我々は感興を新たに深くされたのだ。その店に、薬屋の開店祝いの踊りの絵がぶら下ったのだ。私はこの絵が、四谷以外のよその絵双紙屋にも果して出たものかを子供心にも疑った。