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よつや、あかさか
四谷、赤坂
宮島 資夫
線上閱讀宮島 資夫《四谷、赤坂(よつや、あかさか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,947 字 · 18 頁
今度は火のついた薪が飛んだ。警察側の形勢は危険になった。群集を食い止めようと、大手を広げて演説をはじめた千駄ヶ谷の壮士は、かえって巡査のために後頭部に切りつけられて、血だらけの手で頭を抱えた。四谷から子守に背負わせた子供を探しに来た男は、うろ/\している中に腰を切られた。群集は益々殺気立って来た。燃える松薪が盛んに飛びはじめた時、一小隊ほどの輜重兵が駆けつけて来た。群集は、万歳を叫んで兵隊を歓迎した。
兵隊は突貫もしなかった。小隊長は群集に向って
『諸君が乱暴するなら止むを得ず発砲する』と声明した。然し群集は、却って非常な親しみを以て、兵卒の前の焚火の廻りに集まった。警察は森として音も立てない。兵卒は退屈らしく欠伸をしていた。
が、然し、これは電車が引けてからの出来事である。私は更にそれ以前の、往来の狭かった、宿場のままの新宿に遡りたい。私が少年時代には、四谷と新宿の境界は大木戸によって判然と劃されていた。新宿御苑の前の木立は、今より一層暗く茂って、それに続く、憲兵隊の森と竹やぶが、昼間でも暗い影を往来に投げていた。四谷も大木戸附近に来ると追々とさびしくなったが、ここできちんと終りの句点を打たれたような有様だった。