輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こんわくのべん

困惑の弁

太宰 治

線上閱讀太宰 治《困惑の弁(こんわくのべん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,945 字 · 8 頁

青空文庫

きっと得るところも、甚大であろうと思う、と私は或るとき一人の学生に、まじめに言ったことがあるけれども、そのとき学生は、にやりと笑って、行ったって、僕たちには逢ってくれないでしょう、と正直に答えたのである。そんなことは無いと思う。逢ってくれないならば、にぎりめし持参で門の外に頑張り、一夜でも二夜でも、ねばるがよい。ほんとうにその人を尊敬しているならば、そんな不穏の行動も、あながち悪事とは言えまい、と私は、やはりまじめに言ったのであるが、学生は、こんどは、げらげら笑い出して、それほど尊敬している人は、日本の作家の中には無い、ゲエテとか、ダヴィンチのお弟子になるんだったら、それくらいの苦心をしてもいいが、と嘯き、卓の上の饅頭を一つ素早く頬張った。青春無垢のころは、望みは、すべてこのように高くなければならぬのである。私は、その学生に向っては、何も言えなくなるのである。私は、軽蔑されている。けれども、その軽蔑は正しいのである。私は貧乏で、なまけもので、無学で、そうして甚だ、いい加減の小説ばかり書いている。軽蔑されて、至当なのである。

君は苦しいか、と私は私の無邪気な訪客に尋ねる。