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こっきょう
国境
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《国境(こっきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,336 字 · 21 頁
それは、一ルーブルが一円四銭の割合で交換された。ところが、ある時、深沢は、一ルーブル二十一銭で引きとった多くの紙幣を、国外から国内へ持ちこんで行った。そして、出てくる時、一円四銭で換えてもらって、ほくほくと逃げてきた。いっぱい喰わされたのはサヴエート同盟だった。彼は、昔から、こんな手段を使っていた。日本が出兵していたころ、御用商人に早変りして、内地なら三円の石油を一と鑵十二円で売りつけた。一ちょうの豆腐を十五銭に勘定した。ロシア人の馬車を使って、五割の頭をはねた。女郎屋のおやじになった。森林の利権を買って、それをまた会社へ鞘を取って売りつけた。日本軍が撤退すると、サヴエート同盟の経済力は、シベリアにおいても復旧した。社会主義的建設が行われだした。シベリアで金儲けをしようとする人間は駆逐された。それでも深沢は、どこまでもシベリアに喰いさがろうとした、黒竜江のこちら側へ渡った。火酒の密輸入をやった。火酒がだめになると、今度は贅沢品でサヴエート同盟の資本主義的分子を釣った。
さまざまな化粧品や、真珠のはまった金の耳輪や、蝶形のピンや、絹の靴下や、エナメル塗った踵の高い靴や、――そういう嵩ばらずに金目になる品々が、哈爾賓から河航汽船に積まれて、松花江を下り、ラホスースから、今度は黒竜江を遡って黒河へ運ばれてきた