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こっきょう

国境

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《国境(こっきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,336 字 · 21 頁

青空文庫

ところがそこにも警戒兵がいた」

「どこにだって警戒兵はいるさ。番をするのはあたりまえだ」

「ふーむ、ふーむ、みごとにうたれちゃった」

呉清輝はうたれたのが愉快だというような声を出した。

火酒は、戸棚の隅に残っていた、呉は、それを傷口に流しかけた。酒精分が傷にしみた。すると、呉は、歯を喰いしばって、イイイッと頸を左右に慄わした。

「何て、縁儀の悪いこっちゃ、一と晩に二人も怪我をしやがって! 貴様ら、横着をして兵タイのいるいい道を選って行っとるんだろう。この荷物は急ぐんだぞ。これ、こんな催促の手紙が来とるんだぞ!」

朝、深沢洋行のおやじは、ねむげな眼に眼糞をつけて支那人部屋にはいってきた。呉清輝と田川とは、傷の痛さに唸りながら、半ば、うつらうつらしつつ寝台に横たわっていた。おやじは、いきなり、ペーチカの横の水汲みの石油鑵を蹴とばした。

「この荷物は急ぐんだぞ。これ、こんな催促の手紙が来とるんだぞ!」

クヅネツォフからの暗号の手紙を田川の頭のさきで振りまわした。それには、アルファベットとアラビア数字がきれぎれに、一字一字、全部で三十字ほど折れ釘のように並んでいた。