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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

線上閱讀海野 十三《地底戦車の怪人(ちていせんしゃのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 頁

青空文庫

沖島は軍曹にとびついてやろうかと思ったが、軍曹との間はすこしはなれすぎている。これでは、仕方がない。沖島は、おとなしくうしろを向いた。

とたんに、沖島の腰へパイ軍曹のかたい靴の先が、ぽかりと、あたった。

「あッ。うーむ」

沖島は、痛さを、こらえる。

と、また一つ、腰骨のところを、ひどく蹴とばされた。沖島は、ひょろひょろとして膝をついた。

軍曹は、それをみると、いい気になってまたつづけさまに、沖島を、うしろから蹴とばした。

沖島のからだは、ついに、どっとその場にたおれて、長くのびた。

ひどいことをする軍曹である。

そのころ、氷上では、リント少将が、幕僚をひきつれ、地底戦車のまわりにあつまって、しきりに、会議をつづけていた。

「……敵ながら、あっぱれなものだ。三人でもって、よくまあ、この地底戦車を、ここまでうごかしてきたものだ」

「ではここで改めて、運転いたしましょうか」

「そうだ。うごかしてみろ」

「はい」

参謀の一人が、そこに列んでいた七名ばかりの下士官共に、それっと号令をかけた。

七名の将兵は、その中に入って、扉をとじた。

しかし、戦車は、いつまでたっても、うごかなかった。