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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地獄の使者(じごくのししゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 頁
しかしこれは愉快なことではない。自分としては、あまり多きを望まないけれど、せめて長谷戸検事のような人物とのコンビが解かれ、若いとき自分を引廻してくれたあの雁金検事のような人と仕事をしたいものだ。そうすれば、今の自分ならてきぱきと超人的な捜査をやってみせられるのだがなあ――と、大寺警部は人柄にもなくはかない夢を抱いている。
「じゃあ、関係者の訊問に移ろう」
長谷戸検事がいい出した。
大寺警部は、それを確めるように検事の顔を見直した。
「まず、事件の当時同じ屋根の下にいた家政婦を呼んで来たまえ」
「家政婦ですか。小林トメですね」
「そうだ、小林トメだ」
警部は心得て、一人の警官に目配せをした。その警官はいそいで部屋を出ていった。
帆村は隅っこの椅子に腰を下して煙草に火をつけた。
やがて和服を着た中年の婦人が、警官に伴われて入って来た。丸顔の、肉付の豊かであるが、顔色のすぐれてよくない婦人であった。年齢の頃は五十歳に二つ三つ手前というところらしかった。警部は、婦人を招いて検事の前へ立たせた。
「小林トメさんだったな」
「はい、さようでございます」
家政婦はそう応えながら、警部の前に首を垂れた。