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ちきゅうをねらうもの
地球を狙う者
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球を狙う者(ちきゅうをねらうもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,493 字 · 30 頁
輸送路の完成の暁には、それをどんなことのために使うのか、それはわしにも見当がついていない。ただこういうことはいえると思う」といって、そこで轟博士はちょっと深刻な顔をして、「あのような巨大な原動力の集中は、火星のなかでの生活だけに使うものとしては、とても桁はずれに多きすぎるということじゃ。わしの計算によると、火星の生物が一千年かかっても使いきれないほど巨大なる原動力が一瞬間にあの交叉点に集められる仕掛になっている。それを考えると訳はわからないながらも、背中がぞくぞくと寒くなるのじゃ」
そういった轟博士の顔色は、この暖気のなかに、まるで氷倉から出てきた人のように青ざめた。
不可解なる謎を秘めた火星の「運河」!
僕もなんだか博士につられて、背中がひやりとしてきた。「すると先生、火星の生物というのは、わが地球の人類よりはずっと知恵があるのですね」
「もちろんのことじゃ。だからわれわれ地球上の学問は、火星の生物の存在を無視して研究をすすめても無駄じゃ。君の専攻している地震学にも、火星の力を勘定にいれておかないと、とんだまちがった結論を生みだすことになろう」そういって博士は、額のうえににじみでた汗をハンカチーフで拭いながら、「いや、わしは思わず喋りすぎた。