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ぼっちゃん
坊っちゃん
線上閱讀夏目 漱石《坊っちゃん(ぼっちゃん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,491 字 · 177 頁
「なに今夜はきっとくるよ。――おい見ろ見ろ」と小声になったから、おれは思わずどきりとした。黒い帽子を戴いた男が、角屋の瓦斯燈を下から見上げたまま暗い方へ通り過ぎた。違っている。おやおやと思った。そのうち帳場の時計が遠慮なく十時を打った。今夜もとうとう駄目らしい。
世間は大分静かになった。遊廓で鳴らす太鼓が手に取るように聞える。月が温泉の山の後からのっと顔を出した。往来はあかるい。すると、下の方から人声が聞えだした。窓から首を出す訳には行かないから、姿を突き留める事は出来ないが、だんだん近づいて来る模様だ。からんからんと駒下駄を引き擦る音がする。眼を斜めにするとやっと二人の影法師が見えるくらいに近づいた。
「もう大丈夫ですね。邪魔ものは追っ払ったから」正しく野だの声である。「強がるばかりで策がないから、仕様がない」これは赤シャツだ。「あの男もべらんめえに似ていますね。あのべらんめえと来たら、勇み肌の坊っちゃんだから愛嬌がありますよ」「増給がいやだの辞表を出したいのって、ありゃどうしても神経に異状があるに相違ない」おれは窓をあけて、二階から飛び下りて、思う様打ちのめしてやろうと思ったが、やっとの事で辛防した。