輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こうふ

坑夫

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《坑夫(こうふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 頁

青空文庫

こっちへ向き直って、自分を誘い出そうと力める顔つきを見ると、頬骨の下が自然と落ち込んで、落ち込んだ肉が再び顎の枠で角張っている。そこへ表から射し込む日の加減で、小鼻の下から弓形にでき上った皺が深く映っている。この様子を見た自分は何となく儲けるのが恐ろしくなった。

「僕はそんなに儲けなくっても、いいです。しかし働く事は働くです。神聖な労働なら何でもやるです」

どてらの頬の辺には、はてなと云う景色がちょっと見えたが、やがて、かの弓形の皺を左右に開いて、脂だらけの歯を遠慮なく剥き出して、そうして一種特別な笑い方をした。あとから考えるとどてらには神聖な労働と云う意味が通じなかったらしい。いやしくも人間たるものが金儲の意味さえ知らないで、こむずかしい口巧者な事を云うから、気の毒だと云うのでどてらは笑ったのである。自分は今が今まで死ぬ気でいた。死なないまでも人間のいない所へ行く気でいた。それができ損ったから、生きるために働く気になったまでである。儲かるとか儲からないとか云う問題は、てんで頭の中にはない。今ないばかりじゃない、東京にいて親の厄介になってる時分からなかった。