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こうふ
坑夫
線上閱讀夏目 漱石《坑夫(こうふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 頁
アテシコを尻に敷いて、休息した時は、始めから休息する覚悟であった。から心に落ちつきが有る。刺激が少い。そう云う状態で壁へ倚りかかっていると、その状態がなだらかに進行するから、自然の勢いとしてだんだん気が遠くなる。魂が沈んで行く。こう云う場合における精神運動の方向は、いつもきまったもので、必ず積極から出立してしだいに消極に近づく径路を取るのが普通である。ところがその普通の径路を行き尽くして、もうこれがどん詰だと云う間際になると、魂が割れて二様の所作をする。第一は順風に帆を上げる勢いで、このどん底まで流れ込んでしまう。するとそれぎり死ぬ。でなければ、大切の手前まで行って、急に反対の方角に飛び出してくる。消極へ向いて進んだものが、突如として、逆さまに、積極の頭へ戻る。すると、命がたちまち確実になる。自分が梯子の下で経験したのはこの第二に当る。だから死に近づきながら好い心持に、三途のこちら側まで行ったものが、順路をてくてく引き返す手数を省いて、急に、娑婆の真中に出現したんである。自分はこれを死を転じて活に帰す経験と名づけている。
ところが梯子の中途では、全くこれと反対の現象に逢った。