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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《墓地展望亭(ぼちてんぼうてい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,485 字 · 93 頁

青空文庫

……この、感じは、すこし、つらすぎた。(やはり謁見式なんかにやってくるんじゃなかった。……はじめから、わかりきっていることを……)

次ぎの謁見者の跫音が、すぐじぶんの後に迫って来た。もうどうすることも出来ない!

竜太郎は、最敬礼をすると、低く頭をたれたまま後退りに三歩あるき、それから、耐えがたい憂愁を心に抱きながら、しおしおと、炎の道を戻り始めた。

待合室の入口のところで、文部次官が、追い縋って来た。竜太郎の腕をとって部屋の片隅に引いて行きながら、すこし気色ばんだ、圧しつけるような声でいった。

「ムッシュ・シムラ。……三月二五日の、戴冠式の前日のレセプションのこともありますから、ご注意までに申し上げるのですが、女王殿下に言葉をお掛けするようなことは、絶対に、慎んでいただかなければ……」

竜太郎は、遣る瀬ない憤懣の情から、思わず鋭い声で訊きかえした。

「お祝いの言葉を言上することも、慎まなければならないのですか」

文部次官は、うなずいた。

「たとえ、どんなことがらでも!」

「それは、なぜ?」

文部次官は、竜太郎の耳に口をあてて、囁いた。

「女王殿下は、唖者であられるのです」