輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《墓地展望亭(ぼちてんぼうてい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,485 字 · 93 頁
竜太郎は、ここで、腰を据える気になって、ゆっくりと、煙草をくゆらしはじめた。
遠くのほうから、早駆する馬の蹄の音と、轢轆とした轍の音が聞えてきた。何か殺気をおびた、襲いかかって来るような気勢があった。
竜太郎の脳裏を、チラと、切迫した感情が掠めた。
(ひょっとすると、おれを、ここで、殺るつもりなのかも知れないぞ!)
その理由を考える間もなく手は反射的に、ズボンのポケットへゆき、拳銃をとり出して、安全器をはずしていた。
馬車が近づいて来た。竜太郎から、一間ほど隔ったところで停った。竜太郎は、思わず、身をひいた。
馬車の中で、何か、短かい、甲高い声で、切れぎれに叫んでいる。竜太郎は、じぶんの耳を疑った。
「……あなた、……あなた。……竜太郎さん、……竜太郎さん」
跳ね上げた、大きな黒マントの下から、白い細い手が二本、抱き寄せようとでもするように、竜太郎の方に、突き出されている。
「……竜太郎さん、……竜太郎さん。早く、早く。……どうぞ、この馬車へ! 追手が来ますから……」
声の主は、エレアーナ王女だった。白い美しい面輪の中に、不安と恐怖の色をうかべながら、息も絶えだえに叫んでいる。