輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
だんのうらのおにび
壇ノ浦の鬼火
下村 千秋
線上閱讀下村 千秋《壇ノ浦の鬼火(だんのうらのおにび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,170 字 · 15 頁
ひとたび法師がびわをひきだし、その歌をうたいはじめると、なんともいえないあわれさ、悲しさがひびきわたり、鬼でさえも泣かずにはいられないほどでありました。
この法師は、だれひとり身よりもなく、また、ひどく貧乏でした。いかに、びわの名人とはいえ、そのころは、まだそれでくらしをたてるわけにはいきませんでした。すると、平家の墓のそばにあるあみだ寺の坊さんが、それをきいて、たいへん同情をし、またじぶんはびわも好きだったので、この法師をお寺へひきとり、くらしには、なに不自由のないようにしてやりました。法師はひじょうによろこびました。そして、しずかな夜などは、とくいの壇ノ浦合戦を歌っては坊さんをなぐさめていました。
それは春の宵でありました。坊さんは法事へいってるすでした。法師はじぶんの寝間の前の、えんがわへでて、好きなびわをひきながら、坊さんの帰りを待っていました。が、坊さんは夜がふけてもなかなか帰ってきませんでした。法師は見えない目を空にむけ、なんとはなし、もの思いにふけっていました。と、やがて裏門に近づく人の足音がして、だれか門をくぐると、裏庭を通って法師の方へ近づいて来ました。