輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《夜の構図(よるのこうず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 頁
何といっても、冴子はついて行くといってきかなかった。
「じゃ、ついて来い。その代り、どうなっても知らんぞ!」
信吉はついにたまりかねてそう言った。冴子は、誰が何といっても耳にはいらない状態だった。だから、気の弱い信吉は、もうそれ以上いやとは言えなかった。
冴子はその夜遅く家に帰った。そして、その夜のうちに、どう口説いたか母親を説き伏せ、一晩中掛って荷物をまとめた。身の廻りのもの一切、冬の着物、夜具、買い溜めていた靴、帽子のたぐいまで、持って行くことにしてチッキにして、劇団への挨拶、友人との別れ、町会への異動申告、みんな一人で半日かけずり廻って済ませ、信吉と汽車の中で食べる弁当まで自分の手で作って、駅へかけつけた。
そして、信吉と二人で大阪行の夜汽車に乗った。何もかも半日でやってのけた冴子の真剣さに、信吉は打たれたが、しかし、それよりも、冴子がさげている鞄の安っぽさに、信吉ははっとした。貧しい家の娘ともいえなかったが、けっして裕福な家の娘ではない。作ってくれた弁当も、冴子が謝ったくらい、みすぼらしいものだった。しかし、信吉は、なかなかご馳走だとほめるのだった。