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よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《夜の構図(よるのこうず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 頁
それに、冴子は銀座の何とか帽子店の宣伝係みたいに、ツバの広い帽子を大胆にかぶっていた。雨だというのに……。大阪ではこんな大きな帽子をかぶるような思い切った娘はいない。そのことも、ちょっと信吉を、気おくれさせた。もっとも、辟易させた――と言った方がいいかも知れない。何れにしても、冴子は昨夜の、ふとうらがれた大部屋女優の感じはなかった。今日の冴子はまごうかたなく銀座の娘だ。
九州の女を相手にするようなわけにはいかない――と、ちょっと冴子の「銀座スタイル」に信吉は柄にもなく圧されていた。大阪者の悲しさだろうか、もっとも、
「女はみんな同じだ」
とは、これまでの経験による信吉の、やぶれかぶれの持論だった。
ただ、エティケットが違うだけだ。だから、慎重を要する。しかし、心にもない技巧は使えまい。心にもない――とは、つまり不自然なという意味だ。
食事が終った。
「これからどうする……? 楽屋入りまでまだ大分時間があるだろう……? 銀座を歩く……?」
これは自然だ。
「雨の中を……?」
この返答も計算にはいっていた。
「じゃ、ロビイで話でもするかな」
「ホテルのロビイなんかで、男の方とお話をするなんて、いやだわ。