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よるのこうず

夜の構図

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《夜の構図(よるのこうず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 頁

青空文庫

欠伸などたちまち停ってしまうのだ。が、信吉は停りかけた欠伸を、また続けたのだから、実に自尊心の強い男だといわねばならない。嫉妬を感じた自分に照れるために、そして、嫉妬を感じていることを、かくすためにも……。

わざとらしい、いやな欠伸をしながら、信吉は冴子のテーブルへ近づいた。

冴子は丁度上を向いて、にやにやしながら、首を動かしていた。例によって照れているのだ。これが冴子の魅力なのだ。その魅力を自分以外の人にも見せていることが信吉の欠伸を一層大きくした。

冴子は傍の男を信吉に紹介した。

「東都新聞の薄井さん!」

名刺には、演芸記者とあった。

「――ロビイでお会いしちゃったの。須賀さんに紹介してほしいとおっしゃったので……」

喫茶室で信吉の出て来るのを待っていたらしかった。

色の浅黒い、一見キリッとした美男子だが、容貌への自信が服や口元を濁らせている――といった感じの青年だった。

信吉はこんな場合、神経質に気を使って愛想よくするか、むっとしているかの、どちらかだったが、薄井の自信たっぷりの容貌は、信吉に、後者の方を選ばせてしまった。

信吉は煙草に火をつけた。