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よるのしんぐんらっぱ
夜の進軍らっぱ
小川 未明
線上閱讀小川 未明《夜の進軍らっぱ(よるのしんぐんらっぱ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 3,733 字 · 8 頁
ある雪のたくさん降った日のことです。わざわざ村まで下りていって、
「手紙はきていなかったかいのう。」と、きいたのでした。
「いえ、こなかったぞ、くれば、とどけてやるものを。」と、おけ屋のおかみさんは、いいました。
「あまり昨夜雪が降って、昼前は道がなかったから、この家へ置いていったかと思ったので。」と、おじいさんは、笑いました。
春になって雪が解ければ、夏、秋へかけては、町からこの村まで三里ばかりの間をバスが通りました。けれど、この村から、おじいさんの住んでいる山の中までは、一里近く、峠つづきの細い道を歩かなければならぬのでした。山には、幾軒も家がなかったのです。
おけ屋のおかみさんが、いいました。
「おじいさん、町の醤油屋さん知っていなさるだろう。二、三日前あすこへ寄ったら、このごろ毎晩、戦地からラジオの放送があって、あちらのようすが手に取るようにわかるというこったぞ。」
「ほう、戦地のようすがわかるとな。」と、おじいさんは、自分の耳を疑いました。
囲炉裏に火をたいて、子供のたびを乾していたおかみさんは、
「わかるっていうことだ。」と、いいました。
「ほんとうなら、きいてみたいもんだのう。