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よるのしんぐんらっぱ

夜の進軍らっぱ

小川 未明

線上閱讀小川 未明《夜の進軍らっぱ(よるのしんぐんらっぱ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 3,733 字 · 8 頁

青空文庫

社の境内にあるすぎの木の枝から、ドタ、ドタといって、積もった雪が落ちました。すると粉雪が風に舞って、おじいさんの上へ吹きかかりました。

「あっ、眠ってはいけない、よくこれで凍え死ぬのだ。」

おじいさんは、眠いのを我慢して、夜明けを待とうと思いました。そして、道がわかるようになったら、帰ろうと考えていました。

おじいさんは、いくら眠るまいと思っても、またうとうとと眠ってしまったのでした。このとき、がやがやという人の声がして、おじいさんは、ふたたびおどろいて目をさますと、吹雪はやんで、月の光が、明るく雪の世界を照らしていました。

「いまごろ、なんだろうな。」

顔を上げて、あちらの道を見ると、旗を立て、町の方へいく、出征兵士を見送る人々の群れでした。

「おお、どこか遠い村の人で、停車場へ、兵隊さんを送っていくのだな。」

おじいさんは、神前の階段から身を起こました。そして、命を助けてくだされた神さまに向かって、手を合わせて拝んでから、道の方へ、雪の中を泳ぐようにして出ていきました。

「ご苦労さんです。たいそう早いお出かけですのう。」と、おじいさんは、声をかけました。