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おおとりものせんにんつぼ

大捕物仙人壺

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《大捕物仙人壺(おおとりものせんにんつぼ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 頁

青空文庫

岡山頭巾で顔を包んだ、小兵の武士が供もつれず、江戸の街を歩いていた。

すると、その後を従けるようにして、十人ばかりの屈強の武士が、足音を盗んで近寄って来た。

覆面の武士は幕府の重鎮勝安房守安芳で、十人の武士は刺客なのであった。

今日の東京の地図から云えば、日本橋区本石町を西の方へ向かって歩いていた。室町を経て日本橋へ出、京橋を通って銀座へ出、尾張町の辻を真直ぐに進み、芝口の辻までやって来た。

この間二三度刺客達は、討ち果そうとして走りかかったが、安房守の威厳に搏たれたものか、いつも途中で引き返してしまった。

だが一体何のために勝安房守を殺そうとするのだろう? そうして一体刺客達は、どういう身分の者なのだろう。

それを知りたいと思うなら、当時の歴史を調べなければならない。

慶応三年九月であったが、土佐の山内容堂侯は、薩長二藩が連合し討幕の計略をしたと聞き、これは一大事と胸を痛めた。そこで一通の建白書を作り、後藤象二郎、福岡孝悌、この二人の家臣をして将軍慶喜に奉らしめ、平和に大政を奉還せしめ、令政をして一途に出でしめ、世界の大勢に順応せしめ、日本の国威を揚げしめようとした。