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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁

青空文庫

「この通りの頭でございますから、新しいことはあんまり存じませんが、一の谷の芝居はいろいろのを見ましたよ、おめえ方は知りなさるめえ、大柏莚を見なすったか」

「いいえ」

「今時は、熊谷といえば、陣屋に限ったようなものだが、組討ちから引込みがいいものさ。わしゃ、渋団のやるのを見ましたがね、こう敦盛の首を左の脇にかいこんで、右の手で権太栗毛の手綱を引張ってからに、泣落し六法というやつで、泣いては勇み、勇んでは泣きながら、花道を引込むところが得もいわれなかったものさ。今時、ああいうのを見たいたって見られないねえ」

「渋団は好かったそうですね」

「好かったにもなんにも。総じて今の役者は熊谷をやっても、神経質に出来上ってしまって、いけねえのさ」

「なるほど」

「それから、お前さん方、蓮生をレンショウとおよみなさるが、あれも詳しくはレンセイとよんでいただきたいね」

「蓮生坊をレンショウボウとよまずに、レンセイとよむのですか」

「左様、あの時代に蓮生が二人あったんですよ、本家がこの熊谷、それからもう一軒の蓮生が、宇都宮の弥三郎頼綱」

「なるほど」

「まあ、お聴きなさい、熊谷の次郎が最初に出家をしてね、法然様から蓮生という名前をもらって大得意で――この時は間違いなくレンショウといったものですがね、ある時、武蔵野の真中で、武勇粛々として郎党をひきつれ