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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁

青空文庫

ことを二人の耳へ入れたものがあったからたまらない、二人がムキになっておこって、法然様のところまで詰問に出かけ、これも懇々とさとされて引下ったことがある」

「なるほど」

「そうかと思えば、物に触れて無常を感じてみたり、涙を流してみたりするところに美質があるのさ、その無邪気なところをお前さん方、神経質にしてしまってはいけませんよ」

「注意致しましょう」

「それからお前さん方、熊谷様はしの党だか、丹の党だか御存じか」

若い人たちが煙にまかれて聞いているものですから、道庵先生もいい心持になって、やがて、また芝居の方に逆戻りをして、

「熊谷の芝居は嫩軍記に限ったものさ、あの物語の、さてもさんぬる……で故人柏莚様はこういう型をやったね、一二をあらそいぬけがけの……それ鉄扇をこう構えて、平山熊谷討取れと……」

興に乗じた道庵先生は、故名優の型をやり出して、あたり近所の煙草盆や煙管を無性に掻き集めたり、突き飛ばしたりするものですから、近所迷惑は一方ではありません。若い劇作家連は面白半分、迷惑半分に聞いてはいるものの、、いっこう面白くないのは宇治山田の米友であります。

芝居そのものに予備知識のない米友には、こんな物語がばかばかしく、聞いていられるものではありません。