輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁
ただ、ここに現われた勇者は、体格の屈強なるに似ず、勇気の凜々たるに似ず、ドコかに多少の愛嬌と和気がある。駒井甚三郎はともかくもお礼の心を述べておこうと、彼に近づいて、慇懃に、
「どうも御苦労さまでした……失礼ながら、あなたは何とおっしゃいますか、そうして何の目的で対岸へお渡りになるのですか」
駒井から慇懃に尋ねられた六尺豊かの壮漢は、
「は、は、は、拙者は絵師ですよ、足利の田山白雲といって、田舎廻りの絵描きですよ」
駒井甚三郎も、この返答には、いささか面喰いました。
誰もが天下無敵の勇者であるように思い、またそう思われても、さしつかえないほどの体格と力量を持ち、今やこの船中では、偶像的にまで渇仰されようとしているその御本人が、「おれは絵師だ……しかも田舎まわりの絵描きだ」と淡泊にぶちまけてしまった気取らない純一さを、駒井は微笑せずにはいられませんでした。さいぜんの蛮勇は真似ができても、この淡泊は真似ができないと感じました。
そこで、駒井甚三郎と田山白雲との、うちとけた談話がはじまります。
田山白雲は、今の画界の現状と、その弊風とを語りました。
「あの書画会というやつ、あれがいけないんです……柳橋の万八で、たいてい春秋二季にやりますな、あれが先輩を傲らしめ、後進を毒するのです。