輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁

青空文庫

物慾の中に血を沸かして生きている人々が、どうかすると西行や芭蕉のあとに、かぎりなき憧憬を起すのは、ふるさとを恋うるの心ではないか。

左様なことを駒井は考えました。

船はその夜、保田の港へ泊ることになったものですから、駒井も船の中に寝ることにきめました。この時分には、もう大抵の乗客は上陸してしまって、船は駒井だけのために館山へ廻航するの有様で、船のしたには駒井の携えてきた書物をはじめ、手荷物の類がかなり積み込まれているから、駒井も、ここでちょっと船とはわかれられないようになっているのです。

まだ日脚は高いので、このまま船中に閉じ籠るのも気の利かない話です。

そこで、駒井甚三郎は、程遠からぬ鋸山の日本寺へ登ることを思い立ちました。久しく房州にいるとはいえ、この山へ登ってみたいと思いながら、その機会がなかったのを、今日は幸いのことと思って、船頭に向い、

「これから日本寺へ参詣してくる、ことによると今夜はあの寺へ泊めてもらうかも知れない、しかし、明日の午後、船の出帆までには相違なくもどってくる」

といって、笠をかぶり、田山白雲が右の方、保田の町へ入り込んだのとちがって、左をさして、乾坤山日本寺の山に分け入りました。