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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

と仏頂寺が合わせました。

「何をうろうろしているのだ」

先方がいう。

「吾々は亡者だから、気の向いたところを行きつ戻りつしている。君は、そうして、ちょこちょこと、どこから来てどこへ急ぐのだ」

「松代からやって来たが、これから上方へ上るのだ」

「吾々はまた、この同勢で浅間の温泉へ行こうというのだ、君も附合わないか」

「そうしてはおられぬ」

といって、この男はさっさと行き過ぎてしまいました。

「川上の奴、松代へ何しに行ったのだ」

「態々行ったのじゃあるまい、江戸からの帰りがけだろう」

こういって、仏頂寺と、丸山とは話しながら、川上と呼ばれた浪士と袂を分ちました。

兵馬は知らない人だが、その川上と呼ばれた男、見たところ柔和なうちに精悍な面魂と、油断のない歩きぶりと、殺気を帯びた歯切れのよい挨拶ぶりを聞いて、なんだか一種異様な印象を与えられました。

「あれは肥後の川上彦斎といって、穏かでない男だ」

と仏頂寺が簡単に説明してくれたので、兵馬が初めてその名を知ることができました。

仏頂寺の註釈通り、肥後の川上彦斎は甚だ穏かでない男であります。佐久間象山を殺したのも、実はこの男でありました。