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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

それから暫く行って道庵は、また素敵なものを見出して喜んでしまいました。

見れば火を入れた大行燈を横に高く、思いきって大きな文字で、

「市川海土蔵」

と掲げ、その下に見えるか見えないかの小さな文字で、外題が、

「一番目 岩見重太郎の仇討

中幕 勧進帳

三番目 水戸黄門

大切 所作事」

と書いてあり、なおその下に小さく月形半十郎だとか、牧野昌三郎、坂東妻公だとか、お茶っ葉の名前を申しわけのように並べ、その大行燈を横町の入口高く掲げてあるのを見たから、道庵がヒドク喜んでしまったのです。

「有難え、勧進帳を旅先で見られるなんぞは、開け行く世の有難さとでもいうんだろう、江戸ッ児も江戸ッ児、市川宗家エド蔵の勧進帳、こいつを見のがした日には江戸ッ児の名折れになる」

と道庵が熱心に力瘤を入れて、

「友様、明日を楽しみに待ってくんな、明日こそお前にも芝居らしい芝居というものを見せてやる」

今や、この芝居もハネた時間と覚しく、見たところ小屋の前の混雑は名状すべくもありません。

この景気を以て見れば確かに芝居は大当り、そうして出て来る人の口々の噂を聞くと、

「海老蔵はいいわね、なんて勇ましいんでしょう、杉之助もよかったが、海老蔵はまたいいわ」