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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

ともかく、右の三幕で岩見重太郎劇が終えて、これから宗家十八番の勧進帳が現われようとするところ。

仏頂寺弥助は不承不承に、また番付を取り上げて、役割のところなどを眺めていたが突然、

「丸山」

と呼びました。

「何だ」

「この番付を見ろ、ここに市川海老蔵と書いてあるこの文字の、海老の老という文字が違っている」

ああ、ようやくそこに気がつき出した。

「どれどれ」

丸山勇仙が、その番付を取って、

「なるほど……」

「どうだ、これは老という字にはなるまい」

「そうさなあ……」

「土という字だろう、土という字へ点をつけたり、ひっかけをつけたりして、ごまかしているのではないか」

「なるほど、そう言えば、そうも取れる。一見すれば老と読みたいところだが、そう言われて見ると、土という字だ」

「芝居の法則では、老という字を土と書くのか?」

「そんなはずはあるまい、一点一画は時の宜しきに従うとしても、本来、老という字は老であり、土という字は土でなければならん」

「してみれば、これはエビ蔵ではない、エド蔵だ」

「はてな……」

丸山勇仙が、そこで気を入れて、首をかしげました。

「丸山、こりゃ偽物だぞ」