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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

ん。

「殿様は大工になっても、立派に御飯が食べられます」

といって工人たちが感心する。事実、その通りで、学理の説明と、工事の指導だけでは我慢がしきれなくなって、駒井は自身ハムマーを取り、斧を揮って終日、働き暮すことさえあるのです。

そこで、ここに働く人々とても、本職の船大工と、機械師は、二三人しかない。あとはみんなこの辺の素人であるのを、駒井が仕立てて立派なその道の大工であり、職工であるように使いこなしている。

のみならず、船の外形の工事と共に、その心臓をなす動力の問題、蒸気の製造という難物を、彼は退いて研究し、今やそれをなしとげようとしている。こればかりは親しく外遊して学ぶにあらざれば不可能、といわれている蒸気の製造を、駒井は自分の学問と、従来の経験とで、必ず成し遂げて見せるとの自負を持っている――それに比ぶれば大砲の据付けの如きは、易々たる仕事ではあるが、すべてにおいては、この事業、すなわち、駒井甚三郎の独力になるこの西洋型の船の模造は、模造とはいうが、事実は創造よりも難事業になっている。

その難事業がともかくも着々と進んで行くのを眺めることは、この上もない興味であり、勇気であり、神聖であるように思わるる。