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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,962 字 · 145 頁
むっくと起きて、そのまま、お角さんの前へ伺候しようとして女中に聞くと、その一行はもう出立してしまったという。
そうかそうか、悪い時には悪いものだ、グレる時には一から十までグレるものだ、ここでも、みんごと、置いてけぼりにされてしまった。よく、聞いてみると、お角さんは存外、腹を立ってはいなかったらしい。
「あのお客さんも疲れたらしいから、ゆっくり寝かしてお置き。目が醒めたら御飯を食べさせて、わたしたちは先へ名古屋へ行っているから、これこれのところへ、あとから尋ねておいで……」
とこう言って、お角さんが米友のために、充分な好意を残して置いて先発したらしいから、米友もホッと息をつきました。
米友としては、度胸を据えたようなもので、飯も食い、お茶も飲み、旅装も型の通りにして、上り框から草鞋を穿き、笠をかぶり、杖を取って、威勢よく旅を送り出されようとする時、その出鼻で、またしても一つの悶着を見せられてしまいました。
それは、大八車が一つ、この宿屋の店前についていて、そこに穀物類が片荷ばかり積み載せてあるその真中に、四角な鉄の檻が一つある。その大八車が、ちょうど、米友の出口を遮っているから、街道へ出るには、その車を廻らねばならぬ。