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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁
ですから、伊太夫は夢の中でも、この夢の全く取止めようのないのに呆れているのです。
もう一度繰返して見ると、お銀様はここへ来る前から、関ヶ原の軍記に相当のあこがれを持ち、ここへ来てから、関ヶ原合戦の絵巻物を見せられ、それから、関ヶ原の夜の風物に直接存分触れて来ての後の夢でしたから、見せられた夢も当然であり、見た当人も不思議はなかったのです。お銀様はあの時、この部屋で大谷刑部少輔の夢を見たのです。見ようとして見たのです。お銀様こそは、関ヶ原の軍記に憧れを持つというよりも、大谷刑部少輔その人に、かねてより大いなる憧れを持っておりました。
何故に女人としてお銀様が、人もあろうに大谷刑部少輔吉隆にそれほどまでに憧憬を捧げているのか――
お銀様は、どうしたものか、関ヶ原の軍記に於て、西軍に同情を持っている。石田、小西に勝たさせたいという贔屓が、物の本を読むごとにこみ上げて来るのを如何とも致し難い――だがそれは、石田、小西が好きだからではない、別にお銀様の心魂を打込むほどに好きな人が、関ヶ原軍記の中に一人あったからです。その人こそ、無上の共鳴と、同情と、贔屓とを捧げている。