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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

こう言って苦笑いをしたが、事実は存外落着いたもので、

「さあ、今となって、だいぶ腹がすいてきたぞい」

勝負はこれから、まず腹をこしらえてからのこと、それには鼻の先へお誂向きのこの鍋――これをひとつ御馳走にあずかっての上で……

炉辺にあり合わす五郎八茶碗をとって、七兵衛がその鍋の中から、ものをよそりにかかりました。

「何だい、これは、食物には違えねえが、異体が知れねえ」

その鍋の中のものが、名状すべからざる煮物なので、七兵衛も躊躇しました。だが、結句、蕨の根だの、芋の屑だのを切り込んだ一種の雑炊であることをたしかめてみて、一箸入れてみたが、

「まずい――よくまあ、こうまずいものが食えたもんだ」

七兵衛自身もまずい物は食いつけているが、この雑炊のまずさ加減には、舌を振ったらしい。

「そうだ、奥州は饑饉の名所だってえ話を聞いている、こりゃ、饑饉時の食物だ、餓鬼のつもりで有難く御馳走になっちまえ」

東北大いに餓えたり!

そりゃ、饑饉ということは、関東にも、上方にもある! あるにはあるけれども、東北の饑饉に比べると、こっちの饑饉はお大名だと、子供の時に聞いたことがある。